日本では、チーズは乳等省令によって定義され、ナチュラルチーズとプロセスチーズに分けられています。
ナチュラルチーズは、乳酸菌(酸)、凝乳酵素、熱等で、乳成分の「たんぱく質」を凝固させて凝乳をつくり、凝乳からホエイ(乳清)の一部を取り除いたカードをつくり成型したもの、またはこれらを細菌やカビなどの微生物で熟成させたものです。
プロセスチーズは、ナチュラルチーズを粉砕し、乳化剤(リン酸Na、クエン酸Naなど)を加えて、加熱溶融し、溶かしたたんぱく質で水と脂肪を乳化し、それを成型・冷却したものです。
ナチュラルチーズの分類については、世界共通のわかりやすい分類法はなく、日本では、7つのタイプによる分類が広く普及し定着しています。この分類法は、1988年(昭和63年)に設立された、「チーズ&ワインアカデミー東京」がフランスの分類方法を参考にして作ったもので、原料乳の種類、熟成の有無、微生物の種類、チーズの硬さで7つのタイプに分類しています。チーズの「外観」を中心に分類しているので消費者にもわかりやすい分類となっています。
ここではタイプごとにおすすめの味わい方もご紹介します。
なお、チェスコにおいては、この「ナチュラルチーズの7つのタイプ」に準じてチーズを分類しておりますが、長期間熟成させたセミハードチーズは、芳醇な風味を持ち、水分蒸散により緻密で硬い組織を持つことから、セミハードタイプとハードタイプを厳密に区別することは行っておりません。
※タイプをクリックすると詳細をご覧いただけます。
青カビ(Penicillium roqueforti)の胞子をカードに混ぜて成形し、チーズ表面から細い穴をあけて、空気を供給しチーズ内部に、大理石模様に青カビを生育させて熟成させるのが伝統的なブルーチーズです。
メチルケトン(Methyl ketone)類や、遊離脂肪酸類に由来する特有の香りや辛味を感じます。また、ピリッとする塩味と濃厚な味わいで、ややもろい食感となります。
ロックフォール、スチルトン、ゴルゴンゾラ、フルムダンベール、ダナブルー
そのままでパンやクラッカーに添えて。ジャムやはちみつを合わせると風味もマイルドに。
また、細かくしてサラダに散らしたり、ディップやドレッシングに混ぜて野菜につけても塩味と旨みがアクセントになり、おすすめです。
ロックフォールなどのしっかりとした味わいのチーズは、重厚な赤ワインや甘口のデザートワインに。個性派どうし、深い旨みが広がります。
山羊(フランス語:シェーブル)の乳を原料として作られるチーズです。フレッシュなものは爽やかな酸味があり、熟成させたものは、山羊乳独特の遊離脂肪酸(カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸)の香りが感じられます。作りたてから熟成したものまで、そのときどきのおいしさが楽しめます。
酸凝固でつくられるものが多く組織がもろく崩れやすいため小型のチーズが多いのが特徴です。形状は円盤状、棒状、団子状、ピラミッド型などがあり、表皮には木炭粉をまぶしたもの、白カビで被ったもの、酵母の一種のジオトリカム カンディダム(Geotoricum candidum)で被ったものなど、多種多様です。
ヴァランセ、サントモール、セル・シュール・シェル
フレッシュなものは爽やかな酸味とクリーミーな風味を楽しめます。熟成が進むにつれ硬く引き締まり、コクのある風味になります。野菜やジャム、はちみつを添えたり、くるみやドライフルーツ入りのパンにもおすすめです。
熟成し、コクの増したシェーブルは、辛口の白ワインやフルーティーな赤ワインと合わせて。
チーズの表面に白カビ(Penicillium camemberti)を生育させ、白カビのたんぱく質分解酵素などで熟成させるチーズです。熟成が進むにつれて切断面からチーズが流れ出るくらい軟らかくなるものもあります。風味は熟成とともに濃厚となり、熟成後期にはアンモニアの香りが強くなります。また、クリーム※を加えて、バターのような風味と滑らかな食感にしたチーズもあります。
※クリームを添加して原料乳の脂肪分を2倍に調整して製造したものはダブルクリーム、3倍に調整して製造したものはトリプルクリームとよんでいる。
カマンベール、ブリー、クロミエ
食べる30分くらい前に室温になじませると、香りと味が引き立ちます。チーズによっては熟成段階が進むにつれ、表面の白カビが茶褐色に帯びてきます。色や香りが気になる方は、皮を取り除いたり、りんごやぶどうやドライフルーツと合わせても。
硬くなったチーズは、きざんでカレーのトッピングやフライにしてもおいしく楽しめます。
熟成させないで食べるチーズです。凝乳の方法(酸凝固、熱凝固、レンネット凝固)により、爽やかな酸味があるもの、ミルクの香りがあり、やさしい甘みがあるもの、などに分かれます。水分値が高く軟らかくあっさりとしたチーズです。
クリームチーズ、カッテージ、フロマージュブラン、マスカルポーネ、モッツァレラ、フェタ
ハーブやジャム、はちみつなどを添えたり、果物や野菜などの食材を合わせていろいろな食べ方ができます。
フレッシュチーズの特徴に合わせてサラダやピザ、チーズケーキなどの料理にも大活躍します。
シネレシス工程※において、穏やかな加温により軟らかなカードをつくり、型詰後の圧搾によって、製品水分値を概ね38%~45%に仕上げたチーズです。熟成期間が6ヶ月以内のものが多く、風味は穏やかで、弾力性がありしっとりとした食感を持ちます。
※シネレシス工程とは、レンネット凝固チーズの製造で、撹拌、加熱、酸生成により、カードの水分を制御する工程のこと。
ゴーダ、マリボー、サムソー、テテドモアンヌ、ラクレット
セミハードタイプのものは、そのまま切っておつまみ、スライスしてサンドイッチなどに。また、溶かすとのびるので、ピザやグラタンなど加熱する料理にも最適です。
シネレシス工程※において、高温で加熱して水分の低い硬いカードをつくり、型詰後の圧搾によって製品の水分値を概ね38%以下に仕上げたチーズです。熟成期間は6ヶ月以上のものが多く、熟成期間が長くなるにつれて水分が蒸散するのでより硬くなる傾向があります。風味は芳醇で、硬く緻密な食感を持ちます。
※シネレシス工程とは、レンネット凝固チーズの製造で、撹拌、加熱、酸生成により、カードの水分を制御する工程のこと。
パルミジャーノレジャーノ、エメンタール、グリエール、チェダー、コンテ
熟成の長いハードタイプは、セミハードチーズと似た使い方ができるものもありますが、チーズによってはおろして、パウダー状にすることもできます。
また、旨みとコクが凝縮されたチーズをそのままおつまみにしても美味です。
チーズ表面にリネンス菌(Brevibacterium linens)を生育させ、薄い塩水やお酒(地酒)などで洗いながら熟成させるチーズです。リネンス菌がウォッシュタイプ特有のメタンチオール(Methanethiol)※の香りとオレンジ色の粘着性のある表皮をつくります。熟成が進むにつれて濃厚な味わい、しっとり、もっちりした食感となります。
※メタンチオールとは、アミノ酸の一種であるメチオニンに由来する香気成分。
ポンレヴェック、リヴァロ、タレッジオ、マロワル
芳醇な香りとコクが特徴です。
カンパーニュや全粒粉のパンとの相性もよく、クミンシードなどのスパイスを添えても。
コクのある赤ワインや果実味のある白ワインにもおすすめです。